わたしと店のはなし 第21回 地域を盛り上げる奥出町の純喫茶[喫茶you&me]


カウンター前に所狭しと並ぶクリームソーダの置物やミニチュアカー。その多くはお客さんからのプレゼントなのだとか。「気づいたらなんか増えているんですよね。これなんだろう、誰が置いたのって」と少し困りつつも嬉しそうに笑う店主・中優美さん。

「相変わらず鹿児島弁は抜けないですね」。カウンターの中から、ひょいっと背伸びしてこちらに笑顔を向ける優美さんは鹿児島県出身。「県外で唯一、修学旅行で訪れたことがあった」というシンプルな理由から京都での就職を決意し移住、12年の時が経つ。京都のカフェ巡りが趣味になり、次第に喫茶店の持つ雰囲気やレトロな空間に憧れを抱くように。「流行りのカフェというより、安心する、ホッとする場所を作りたい」と2019年、自身の喫茶店をオープンした。優美さんの耳に心地よい鹿児島弁ととびきりの笑顔に「元気をもらいに」と訪れる常連客も徐々に増え、今年5年目を迎える。

開店以来、他店舗とのコラボ営業を盛んに行い、輪を広げてきた優美さん。昨年の1月からは近隣店舗との協働企画「おくでまさん」をスタートした。「おくでまさん」とは、“おくでまち”という出町柳から北のエリアで活動する店舗同士が協力し、毎月第3日曜日にスタンプラリーやコラボ営業を開催するイベント。「商店街は人の流れができているんですけど、ここはわざわざ足を運ぶ場所になるので、もっと自然と人が集まるエリアにしたい。地域を盛り上げたいと思って始めました」。開催日には、店内で古着屋「サンジロ」のポップアップをしたり、「星の球」の自家製シロップを使ったドリンクの提供したりと、他店の魅力も発信。優美さんの目指すところは地域全体の活性化だという。

地域のために尽力する優美さんの原動力は一体なんなのか。「自分を自分で楽しませたいということ。そしてやっぱり町のことが大好きなので、大事にしたい。町の人たちが喜んでくれることをしたいですね」。修学旅行の思い出の地であった京都が、いつしか優美さんにとって大切な第二の故郷になっていった。「ここでお店をやらせてもらえている間は、なるべく町に寄り添いたい。まだまだこれからです」

 

鹿児島の郷土料理「奄美の鶏飯」を食べられるのがここならでは


鶏肉や錦糸卵などが載ったご飯に鶏出汁をかけて食べる、鹿児島の郷土料理「奄美の鶏飯(850円)」を食べられるのがここならでは。甘く濃い目に仕上げたしいたけの甘露煮としょうが香る鶏出汁が味のポイント。サラサラ食べられてモーニングにもぴったり。

店内のお土産コーナー。人気メニューのクリームソーダやお店の外観がデザインされたオリジナルグッズがキュート!

叡電元田中駅から徒歩約5分。三角屋根が目印。

※「おくでまさん」は現在お休み中。今後は形態を変えて実施予定。最新情報はインスタグラム(奥出町 [おくでま] @okudemachi)でご確認ください。